私が以前からなりたかったのは、ひとりでも自分の生活を楽しめるひとり上手です。
近年ではSNSやLINEなどの通信手段が発達したこともあって、単独で行動する人達が増えましたが、その反面周りや世間の目を意識して行動しているように見えます。
私から見ると、自分の行動を受け入れてもらいたいがためにSNSを利用する人はひとり上手とは言えない気がします。
他人の意見を気にして行動すると反対意見を言う人を疎んじるようになるか、その時本当にやりたい事が出来なくなると思うのです。
毎日の生活でネガティブになりやすい人の中には他人も自分のように考えるのが当たり前だと思う人がいるかもしれませんが、ネガティブな状態は当たり前ではありません。
本書は人気エッセイストの岸本葉子さんが自分と上手に向き合う方法や人間関係の変化、人との距離感など、特に独身女性に参考になる多くのエピソードを綴っています。
岸本さんは20代から30代の時は疎遠になっていた学生時代の友人達と会う機会が増えましたが、ご自身が50代になるまでは同窓会に行く事はなかったそうです。
女性の場合はライフステージが多く立場によって親密度が増したり疎遠になったりしがちですが、40歳までに多くの経験を積むため共感しやすい関係になるのかもしれません。他の人達と自分の生き方を比較すると息がつまりますが、共感出来るポイントが増える事で絆が出来る。そう思うと心強くなります。
ひとり上手になるための極意の一つが行きつけの場所を持つという事です。
仕事や家事労働、介護と関係のない場所で過ごす事によってオンオフの切り替えをするのは心身の健康を保つのに役に立ちます。
本書では岸本さんが普段行きつけにしている喫茶店や句会など、趣味の交流やインテリアが素敵な場所を目安としている事が紹介されています。
自己管理と楽しみのための時間を上手にミックスさせる事がひとり上手への近道になるのかもしれません。
心から楽しめる場を持つ事も、ひとり上手になれるこつだと言えます。若い頃とは違って体の衰えも始まるため、自分の体調を良い状態に維持する事が重要になります。
現在の自分の状態を把握したうえで前向きに考えるようにすれば、他の人達とのつながりや助け合いも出来るように思えます。ひとり上手になれれば
つながり上手になれる、そう思わせてくれる本です。