彼の楽器を売った私は…

彼氏がギターを始めたのは中学2年生の頃でした。当時バスケットボール部に所属していた彼は、これといって運動ができるわけでもなく試合には出たり出なかったりでなんだか物足りない日々を送っていました。

ある日、友人からオススメされたBUMPOFCHICKENというバンドのCDを聞きいたそうです。そのバンドが出す音やボーカルの藤原基央の歌詞や声に中学2年生の彼は衝撃を受けました。音楽がやりたい!ただ単純にそう思ったといいます。音楽をやるにはやっぱりギターを弾けなきゃな!そんな思いで彼はお年玉を使って1万5千円くらいのエレキギター初心者セットを買いました。

初めて出した音は彼のいる空間をその音で埋め尽くしました。もちろん初めてギターに触った彼は、何かの曲を弾くこともできないし、ましてや弾きながら歌えるはずなんてないのに、その音を聞いた瞬間彼はなにかとても強い武器を手に入れた感覚に陥ったそうです。それ以来彼はギターの虜になりました。

そんな彼のギターを私は売りました。新しい部屋に越してきたのでしょうがないですがやっぱりちょっとかわいそうです。